キマイラギターズ・マガジン

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専門学校の話(ギタークラフト)

どうも、岩井です。

この記事はnoteに書いた記事を動画化し、それを更にブログにしたという焼き増し焼き増し記事です。

 

許してください。

 

赦して…

自己紹介記事にも書いた通り、僕は高校卒業後ギタークラフトの専門学校に2年間通っていました。

と、いうことで今回はギタークラフトの専門学校って実際どうなの?みたいな話をしていこうと思います。あくまで岩井が通っていた学校での話になりますので他の学校とは異なる部分も多いかと思います。ご了承ください。

 

 

 

目次

・入学までの話

岩井は高校時代から自分のギターの改造やメンテナンスはインターネットや本で調べて独学で行っていました。

なので入学までは「高いお金を出して専門学校に行ってまでしないと手に入らない情報はあるのか?」と半信半疑でした。

なので一度オープンキャンパスに足を運びました。

その学校には演奏科やスタッフ科など音楽に関係する様々な専攻がありましたが、ギタークラフトの専攻に来ていたのはその日自分を入れて3名でした。

オープンキャンパスの内容としてはギターの弦交換やネック調整、弦高調整など基本的なメンテナンスを先生に教えてもらうというものでした。

「それぐらい教えてもらわなくてもネットで調べればできる」と思っていましたが、いざ教えてもらってみると細かな注意点など知らなかったことが沢山ありました。

専門学校の講師の方はそれなりにプロの現場で経験を積んだ方ですので、そこから直接学べるというのはインターネットではなかなかできないことでした。

自分も含むんですが、ネットで情報を発信する人って中途半端な人間が多いと思うんですよね。

趣味に毛が生えた程度の人や少し店でバイトをしていた程度の人など。

楽器いじりを生業として生活できている人はそれなりに忙しいですし、なかなか情報発信までする暇はありません。

と、いうことでその学校への進学を決めました。

 

もう一つ僕は、自分と同じような楽器が好きでモノづくりが好きなオタクが何人も集まる環境にも期待していました。

 

・授業

入学後、様々な授業が始まります。

 

・クラフト実習

文字通り楽器を作る実習です。初めは半キットギターのようなものを作りながら工具の扱いの基礎を学びます。刃物の研ぎ、手入れもイチから学びます。

その後、徐々にセットネックやオリジナルシェイプなど難しい作品に挑んでいきます。僕は結局2年間でストラト1本、ジャズベ1本、変なジャガーを2本製作しました。

 

・リペア実習

楽器の修理や改造を学びます。内容は電気系統の修理やリフレット、リフィニッシュなど様々です。この授業は自分が仕入れたジャンクギターを修理してもよかったりと割と自由な感じでした。

 

・エレクトロニクス

ギター、ベース、アンプに関わる電気系統の授業です。電子部品の基礎的な知識や配線材、コンデンサによる音の違いの聞き比べ、エフェクターの製作などを通して知識をつけていきます。この授業が一番寝ている生徒が多かったですね...

 

・音響実習

自分たちが製作、メンテナンスした楽器が実際に鳴っている現場の知識をつけるためにPA卓を触ったりドラムやアンプのマイキング、配線の引き回しなどを基礎から学びます。最終的には生徒だけでライブハウスと同じような音響設備を組み上げられるようになるまで実習していきます。

 

・ヴィンテージゼミ

ギターやベースの歴史を学びます。例えばフェンダーなら年代によってのロゴの違い、木材の違い。CBS買収の背景なんかも習います。授業は楽しかったですが今ではあんまり覚えていません。

 

このような内容を2年間かけてミッチリやっていきます。放課後に居残りして自主的に楽器を弄ったりもします。

自分は大学に通ったことが無いので保証は無いですが、暇な大学生よりは忙しかったと思います。通学時間が長かったというのもありますが。

 

・生徒たち

生徒数は僕の学年では始め18人いました。(男16女2)

最終的には12人になっていました。(男10女2)

高校時代から楽器を弄っていたのは自分を入れて3人。

「あれ?俺みたいなオタクが集まる学校じゃないの?なんでそんなに簡単に辞めちゃうの?」

と、当時は思っていました。

ですが今考えると結構当たり前のことかなと思います。

僕みたいなオタクも専門学校に行きますが、「大学に行く学力が無かった奴」「本当はプレイヤーとして生きたいけど将来の安定を見てとりあえずエンジニア専攻に置きに行った奴」「なんとなく来た奴」等、あまり高いモチベーションを持たずに入学してくる生徒もいます。そういう生徒は途中で辞めたり、卒業できても楽器業界に就職しなかったりします。

ちなみに2年間のうちに単位を1つも落とさなかったのは自分だけでした(自慢)。

 

・就職、進路

就職の話をします。

自分で就活をする以外にも音楽、楽器業界から学校に求人が届きます。クラフト専攻に関わるのは楽器店や工房、工場などが主です。そこにインターンに行ったりすることで就職につなげていくというケースが多かったと思います。

それとは別に学生時代から楽器店でアルバイトを始め、卒業したらそのまま就職というパターンもあります。

おそらく大学生のようにESを書きまくったり面接を受けまくったりして就職する生徒は少ないです。

自分は学生時代にライブハウスでアルバイトを初めてそのままどこにも就職せずに卒業し、スーパーブラックバイトでぶっ壊れてしばらくニートをした後、専門学校の同級生が働く楽器店に声を掛けられリペアマンとして2年ほど働きました。

中退せずに卒業した12人の内、そのまま楽器業界に就職したのは多分7人ぐらい。そしてそれから6年経った今も楽器業界に残っているのは3人ぐらい?って感じだと思います。

自分は今音楽、楽器とは関係ないアルバイトをしながら主にYouTubeで楽器オタクな話を垂れ流しているので一応生存者、って感じですかね...

 

・どういう人に専門学校はオススメなのか?

どういう人に専門学校はオススメなのか?

と言うと

「多分俺は死ぬまで楽器いじってるんやろな~...」

って人。

正直、日本の楽器業界の未来は明るくないです。

大手楽器メーカーや新進気鋭の個人ブランドなど海外を相手どれる分野はまだまだ大丈夫ですが、日本のみを市場とする楽器店などはこれからどんどん厳しくなっていくと思われます。

少子高齢化でこれからもどんどん若者が減っていく中、「これから楽器を始めよう」という人間も同じように減っていきます。

フェンダー社は最高売り上げを更新したというニュースもありましたが、それは世界トップのメーカーだからこそ成しえたことです。

「それなら自分個人で細々と食っていけるぐらいだけ隙間で稼げばよくね?」という考え方で今の自分は生きています。

 

・まとめ

話がそれましたが

「ギタークラフトの専門学校なんてお遊びじゃないの?」「確かな技術を学べるの?」

などの心配をしている方はご安心ください。学べる技術は確かにあります。

しかし、専門学校を卒業したからといって一人前というわけではありません。

プロのギタリストの機材を世話できるレベルになるには数十年かかります。

専門学校を卒業してからも研究意欲と創意工夫、向上心を持って仕事をしていれば徐々に腕を上げて信用されるリペアマン、クラフトマンになれることでしょう。

「専門学校卒業」がむしろスタート地点です。

 

楽器業界を目指す高校生、専門学校生の皆さん、健闘を祈っています。