リッケンバッカーの清掃、メンテナンス。
どうも、岩井です。
よく飲みに行くバーで知り合ったおじさんが時々ギターのメンテナンスを頼んでくれます。
今回もそのおじさんから頼まれた一本。
Rickenbacker 325V59 Mapleglo 1995年製です。
くすみ、カビが酷かったのですが、今回は徹底的に清掃していきます。
接点不良からか、アンプに繋いでも出力がありません。
この辺りはジャックやポットの清掃ですぐになんとかなるでしょう。
まずは清掃のために分解していきます。
ネジ類を外していくだけですが、こういった古いギターのネジはサビなどで脆くなっていることが多いので気をつけて外します。
ネジを回すときは「押す力が8、回す力が2」というのをよく聞きますが
状況に応じて力加減は調整します。
まずは埃を払います。
そしてカビに侵されたボディを磨いていくのですが
傷んだ塗装を磨くのに岩井がイチオシしているのが
「Turtle Waxの緑」です。
研磨力と目の細かさ、塗装への影響の少なさのバランスが秀逸です。
Turtle Waxには白い物もありますが、こちらの方が目が細かく
新品の綺麗なギターでもない限り緑で十分かと思います。
今回はカビによって塗装が食われている箇所が多かったので普通に磨くだけでは厳しい状態でした。
なので耐水ペーパーの2000番にタートルワックスをつけて磨いていきます。
強く擦ってしまうと耐水ペーパーの研磨跡が深く残ってしまうので
あくまでもタートルワックスの研磨力に頼るように優しく軽く擦っていきます。
その後、ペーパーウェスなどでもう一度タートルワックスで磨き上げます。
これでかなり綺麗になりました。
ピックアップなどの金属パーツは洗剤などで拭き上げて綺麗にしていきます。
ここでも研磨跡を気にしてコンパウンドなどを使うことは避けました。
「セスキ」という洗剤で拭き上げていきます。
これで十分綺麗になりました。
電気系統のメンテナンスですが
ポット類は接点復活剤、セレクターやジャックは耐水ペーパーやスチールウールで接点を磨いておきます。
磨いた後も接点復活剤で防錆しておきましょう。
出力が確認できたらフレットを磨いていきます。
いつも通りマスキングしてスチールウールで擦ります。
このリッケンバッカーはローフレットが局所的に減っていました。
この場合、局所的に減った部分に合わせてフレット全体をすり合わせしてしまうとペッタンコになってしまうので少々"裏技"を使います。
フレットの減った部分に半田を盛ります。
これが意外と有効で棒ヤスリや耐水ペーパー、スチールウールなどで磨いて仕上げてやると一目見たぐらいでは分からないぐらいの仕上がりになります。
そして強度も意外とある。
楽器店で働いていた時に、外部のリペアマンから教わったテクニックです。
リッケンバッカーの場合、ローズ指板でも指板にクリア塗装がされています。
なので指板もタートルワックスで清掃。
ビグスビーですが、古いグリスに埃が溜まってしまっています。
ここは車やバイクの整備で使うパーツクリーナーを使って油分を落としていきます。
そして全体を清掃後、新しい油を注してやりましょう。
アームの動きの滑らかさはチューニングの安定性にも繋がります。
ブリッジやノブも分解して清掃していきます。
ここでもセスキが活躍します。
そして組み戻して弦を張り、調整すれば完成。
リッケンバッカーはあまり触ったことが無いのですが
なかなかいいギターですね。
出音にも独特のコシと煌びやかさがあります。
そしてこのギターは1995年製で僕と同い年。
少し欲しくなってしまいました。